ミステリー好きの理由は何でしょうか。結論が分からないという点では、どの本も同じように思います。
私の個人的な意見になりますが、現実世界を離れた物語になってしまうと何でもありになってしまいます。その点でいえば、ミステリーは読者の世界観を守ってくれていて、その範囲の中で衝撃を与えてくれます。この点にミステリーが好きな理由があるように思います。
想像しやすいというか、話が頭に入ってきやすいですね。
さて、今日はミステリーで賞を受賞し、2023年本屋大賞にノミネートされた作品を紹介します。
タイトル:方舟
著者:夕木 春央
週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位!
MRC大賞2022第1位!9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
出典:Amazon
評価:★★★★★
レビュー:
舞台は森の中にある謎の建物。そこに大学の同窓生6人と後から参加する謎の3人家族の計9人が閉じ込められてしまうところから話がスタートします。
そして、脱出するには中から機械を操作する必要があり、操作した人は脱出できない、という状況になります。
ここまで読んだときに、「なるほど。誰を残すかを決める物語か」と思いました。
しかし、この状況下で殺人事件が起きます。
しかも、意外にあっさり描かれます。確かに殺人事件を解決するだけでも一つのミステリー作品として成り立ちますが、密室から誰を犠牲に脱出するかというおまけが付いているのでこの点は仕方ないのかもしれませんが。
この殺人事件は、これもまた意外にあっさり解決します。そして、事件が解決してから今度は誰を犠牲にし、脱出していくのか。
殺人事件の犯人を犠牲に、他の生存者が脱出できれば良いじゃないかという閉じ込められた人たちの思考回路は自然なものかもしれません。
そして、脱出するとなった時、、、
久々にミステリー本を読んでゾクッとしました。
殺人事件を解決するミステリーでは物足りなくなった方、おすすめです。
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