警察をテーマにした小説、漫画、ドラマ、映画は多々あります。その中でもやはり一番多いのは刑事もの。殺人事件を扱う課の物語です。
以前、そうした殺人事件を追う刑事ばかりがテーマになっていない、地域の警察を主人公にした漫画を紹介しました。
今回はこの漫画でも扱われている、警察学校でのできごとをテーマにした小説を紹介します。
タイトル:教場
著者:長岡弘樹
君には、警察学校をやめてもらう。
この教官に睨まれたら、終わりだ。全部見抜かれる。誰も逃げられない。
警察学校初任科第九十八期短期過程の生徒たちは、「落ち度があれば退校」という極限状態の中、異色の教官・風間公親に導かれ、覚醒してゆく。
必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩、それが警察学校だ。
週刊文春「2013年ミステリーベスト10」国内部門第1位、
宝島社「このミステリーがすごい! 2014年版」国内編第2位、
2014年本屋大賞にノミネートされ、
90以上のメディアに取り上げられた既視感ゼロの警察小説!出典:Amazon
評価:★★★★★
レビュー:
警察学校の教官とその生徒たちが主役の小説。
ミステリの短編集で構成されています。
こうした、ミステリアスな教官と生徒たちのやり取りで話は進んでいきますが、教官視点ではなくいずれの短編も生徒視点です。
生徒視点で話が進み、要所要所で教官が登場し、恐れられています。その雰囲気が教官を視点にしないことで見事に演出されています。教官がぺらぺらと喋る教官視点の物語があればこうはいきません。
警察学校とはどういったことを学び、どんな訓練が行われているのかといった勉強にもなります。警察と言っても、学校ですので事件も一般的な学校と似たようなことが起こります。しかし、そこには優しい先生はおらず、怖い切れ者の教官がいるだけ。
ミスをしたら退学と言われる警察学校で、教官の視線に緊張しながら生活する様子が伝わってきます。ミステリアス感を失わずにこの教官の姿が描かれており、この人が出てきたら解決だという安心感。いわゆる水戸黄門の印籠のような役割を果たす、パターン化が見事にできているなと感じる作品でした。
短編で解決するミステリ好きな方、ミステリアスな教官と生徒のやり取りに興味がある方におすすめです。
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