タイトル:ルパンの消息
著者:横山秀夫
概要:
15年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人――。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生3人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで24時間、事件は解明できるのか!? 著者“幻の傑作”待望の電子化。
出典:Amazon
評価:★★★★★
レビュー:
横山秀夫と言えば、『半落ち』『64』と言ったメディア化になっているイメージの強い作家です。私にとっては、ミステリー作家として好きな作家の一人です。
本作は作家とタイトルで購入を決めました。
ルパン三世はアニメでよく見ています。
さて、本作はゆっくり時間をかけて読めば展開から犯人が分かるように描かれており、矛盾の感じないストーリーで面白かったです。
ミステリーを犯人を考えながらじっくり読み進めていて、最後の最後でとんでもどんでん返しがあると一気に冷めてしまいます。
本作は、ストーリーを読み進めるうえで犯人が分かります。しかし、犯人が分かったうえで、+αの展開が待っており、最後まで楽しめる良い作品でした。
登場人物の名前がユニークでなかなか覚えるのが大変でしたが、それ以外の表現などは読みやすくミステリー作品としてお勧めしたい本でした。
現代と犯行時の時代を行き来する書き方をしています。犯行時の、つまり過去のストーリーが進むにつれて真実が明らかになります。しかし、現代の話では、犯人が逮捕されていません。
と言うことは、犯行時の話がいくら盛り上がって、犯人を追い詰める展開になったとしても逮捕まではいかないと言うことが読者は分かってしまいます。このパラドックス感が何とも言えないワクワクを感じさせてくれました。
犯人をゆっくり考察したい、とんでもどんでん返しは好きじゃない、と言う方にお勧めです。