コーヒー好きだけれどまだ喫茶店で読書をするまでに至ることができません。憧れます。さて、本日は喫茶店が舞台の小説のレビューをしていきたいと思います。
タイトル:純喫茶トルンカ
著者:八木沢里志
概要:
東京・谷中の路地裏にある小さな喫茶店『純喫茶トルンカ』を舞台にした3つのあたたかな物語。
決まって日曜に現れる謎の女性とアルバイト青年の恋模様、自暴自棄になった中年男性とかつての恋人の娘との短く切ない交流、マスターの娘・雫の不器用な初恋―??
コーヒーの芳ばしい香りが静かに立ちのぼってくるような、ほろ苦くてやさしい“奇跡″の物語。
各所で反響を呼んだ傑作小説、待望の新装版。(解説:南沢奈央)出典:Amazon
評価:★★★☆☆
レビュー:
こちらの作品は喫茶店が舞台となり、そこに訪れる客と店員とのやり取りがメインで進んでいくオムニバス形式のお話です。
昔はオムニバス形式と言いますか、短編集が苦手でした。どうせ読むなら長編で長くその世界に浸っていたいと感じるからです。しかし、最近は短い話がいくつも連結していて最後に繋がるというような本をよく読みます。一つ一つ起承転結がはっきりしていて、短時間でも読みやすいので重宝します。
いわゆる喫茶店物。そういうジャンルがあるのか知りませんが、普段ミステリーばかりを読む私にとっては謎を解いたり、事件が起こったりしないのんびりした展開の話だなという感想でした。どこか、少女漫画を小説にしたような印象を受けます。
流し読みでもストーリーが大きく展開することもないので、付いていけるのがこうした小説の良いところだと思います。むしろゆっくり自身も喫茶店での時間を楽しんでいるように読むのも良いかもしれません。
3つの短い話が入っていて、それぞれ緩やかな恋愛ものでした。私は恋愛ものが苦手で、ちょっと抵抗感もあり、早く読み終わろうと思って2回で読み切りました。本作の2巻目
も買ってしまったので、そのまま続きで読もうと思ったけれどちょっと休憩を挟みたくて違う本を手に取ってしまいました。難しい言い回しもないので、ほのぼの人情系が好きな人には読みやすい作品だと思います。
その日の雰囲気によって読みたい本が違ってきます。少しのんびりしたいとき、温かいストーリーに触れたいとき、そういったシーンに合う本だと思います。