私は関西弁を話しますが、文章を書くときは基本的に使いません。
文で関西弁を見ると、キャラクターの味が出ますが、だいたい関西弁を話すキャラクターはお金に汚い、ちょっと抜けている、食いしん坊、などそんなに良いキャラクターとして描かれませんね。
方言を使うキャラクターには親近感を持ちますが、関西弁を使わない人が読むときは頭の中でどのように読んでいるのか気になります。
さて、今回は主人公や登場人物が、いわゆるこてこての関西弁を使う警察の物語です。
タイトル:悪果
著者:黒川博行
大阪府警今里署のマル暴担当刑事・堀内は、淇道会が賭場を開くという情報を掴み、開帳日当日、相棒の伊達らとともに現場に突入し、27名を現行犯逮捕した。取調べから明らかになった金の流れをネタに、業界誌編集長・坂辺を使って捕まった客を強請り始める。だが直後に坂辺が車にはねられ死亡。堀内の周辺には見知らぬヤクザがうろつき始める……。黒川博行のハードボイルドが結実した、警察小説の最高傑作!
出典:Amazon
評価:★★★★☆
レビュー:
タイトルを見て、すぐにピンと来なかったので手に取ってみました。
すると、ここまでこてこての関西弁を使う小説は珍しいと興味を持ち、購入することにしました。
主人公は警察の暴対、つまりヤクザとの争いを描いた作品です。
方言が強いですが、テンポよく会話の応酬があり、読んでいて気持ちよかったです。
会話が多いこともそうですが、
「~~と、母は言った」や「~~しながら、答えた」というような地の文がほとんどないため、会話のみで話が進むことが多々ありました。
私はこうした表現方法の時、どっちが話しているか分からなくなることがありますが、本作では関西弁の使い方が上手いのでキャラクターが完成しており、全く違和感なく会話だけで進みます。そのため、テンポが良く読みやすい作品に感じます。
ただ、少し生々しい表現があり、痛そうです。
話の内容はあまり良い話と言いづらいもので、また主人公がそこまで良い人ではありません。警察だからと言って毎回勧善懲悪の物語ではないんだ、という読後感想でした。
シリーズ物だそうなので、見かけたら他のシリーズも読んでみたいと思います。
が、痛そう、辛そうな表現が多いので元気な時に読みたい本です。
会話のみで進むテンポの良さをぜひ体感してみてください。
警察小説が好きな方で、さらにありきたりな推理物に飽きた方、こてこてな関西弁を見てみたい方、おすすめです。
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